ショーン・コネリー演ずる砂漠の民の首長が、ちょっと古い時代の男らしさが溢れていてやたらカッコ良い!
馬上で、長剣を両手で上段に構えて敵に向かって疾走するシーンなど鳥肌ものです。
そしてまた、ラストシーンが胸をジンとさせながらもカラッとして終わる、私の大好きな映画なのです。
注)以下、ネタバレだらけです!
【あらすじ】
舞台は珍しくアフリカ大陸の地中海沿岸・モロッコ辺りの話。
世界史に詳しい・地中海沿岸の歴史をよく知っている人なら、より楽しめるかも!
アメリカはルーズベルト大統領の時代です。
砂漠の民リフ族の長・ライズリ(=ショーン・コネリー)は、自らの主張と存在を訴えるためペディカリス婦人(=寡婦=キャンディス・バーゲン)を二人の子供と共に誘拐します。
ペディカリス婦人は、身の危険を感じながらも誇りを失わず、言うべき事をストレートに言うためライズリは何度も「厄介なひとだ!」とため息をつく羽目になります。
一方神の子を自称するライズリは、元より女子供を傷つける気はなく、それどころか危険な集団に拉致されたペディカリス夫人をたった一人で救い出しました。
二人の心は近付いていきますが、列強諸国の権力争いに巻き込まれていくのです。
初めてこの映画を見た時(映画館でした!)、蝶ネクタイではなく、ヒゲ面でターバンを巻いたショーン・コネリーを見て、絶対ミスキャストだと思ったのです! しかし、見終わる頃には、十分納得させられました。 ラストシーンで 友 「全てをうしなってしまったぞ!」 ライズリ「そんなこともあるさ!」 二人 「アッハッハ!」 |
【感想】
ライズリはアメリカ(ルーズベルト)との約束通りペディカリス婦人達を返すために小さな村を訪れますが、その村にはドイツ軍も駐留していてライズリを捕虜にしてしまいます。
婦人は、数では超劣勢のアメリカ軍を説得して、ライズリを救うためにドイツ軍に突入していきます。
ちょうどその時、ライズリについて来ていた砂漠の民の騎馬軍団が攻撃を開始し、形勢は逆転するのです。
自分を救い出したペディカリス婦人に向かって「また会おう、 金の雲になって!」と言って、ライズリは仲間と共に戦うために飛び出していきます。
生きて再び会うことはない、と分かっての別れなのですね。
夫人と一緒に誘拐された男の子がいます。
ラスト近く、短いけれど少年の夢(回想)のシーンだけで、彼が誘拐されてからの生活をどう感じているか、十分に分かるのです。
たぶん、時代や環境に逆らって男らしく生きようとしている男が、それだけでは孤独な報われない戦いになってしまいますが、それに共感していく男の子の存在が救いになっているのでしょう。
男らしいヒーローのように生きたいと思ってもすでに普通の大人になってしまった自分では、もう手遅れでうまく感情移入できません。
でも、それにあこがれる少年がいてくれれば、自分も立場を変えて素直に共感できるのです。
いまさらヒーローにはなれませんが、息子にとってなにか誇りに思えるものを持っている、そんな父親でいられればよいのですが … 。
「IS」なんて無かった頃に作られた映画です。
大量の人馬の戦闘シーンなんて、物量的にもその危険性からも、もう撮れないかも知れませんね。
脂の乗り切った頃のキャンディス・バーゲンですが、この後「2010年」(=スタンリー・キューブリックの2001年宇宙の旅 の続編)で、コンピューターの声をやってます。 私は気付きませんでしたけど。
関連作品:エントラップメント … ショーン・コネリー 出演
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2018.09. ................ 傑作映画館の目次ページへ